ムビラとは/ムビラとカリンバの違い


ムビラとは

ムビラの写真

 

ムビラとは、
アフリカのジンバブエ住む
ショナ民族たちが太古から奏でてきた伝統楽器です。

 

アフリカ大陸はとても大きな大陸で、
日本の約80倍の面積があります。

 

広大なアフリカ大陸には、
様々な民族が生活していて、
それぞれが、特色のある文化、伝統を持っています。

 

アフリカ大陸の一番南には、
2010年にサッカーワールドカップが開催された国、
南アフリカ共和国があります。

 

南アフリカ共和国の南の端には、
1497年にバスコ・ダ・ガマが、
インド航路を発見する際に通過した喜望峰があり、
その周辺の海辺では、
野生のペンギンを見ることもできます。

 

その南アフリカ共和国の1つ北の国、
海とは面していない内陸の国、
それがジンバブエです。

ジンバブエ

 

ジンバブエにはたくさんの民族が住んでいますが、
人口の82パーセントがショナ、
と呼ばれる民族になります。

 

ショナは、太古の昔から、
ムビラを演奏して、
先祖たちの魂や自然に祈りを捧げてきました。

 

雨を降らすため、
病気を治すため、
仲が悪い家族の問題を解決するため、
冠婚葬祭、
彼らはムビラを弾いて精霊たちに祈り、
問題解決にあたります。

ムビラはショナの伝統において、
とても大きな役割を持っている楽器です。

 

今でも、ジンバブエに行くと、
さまざまな場所で、
ムビラを弾いて先祖に祈りを捧げる光景を見る事ができます。

 

ムビラとカリンバの違い

ムビラ

カリンバ

ムビラはジンバブエの楽器、
カリンバはマラウイやザンビア周辺の楽器です。

 

ジンバブエに行って、
ムビラを指差して、
“これはカリンバですね。”
と言うと、
“いいえ、これはカリンバではありません。ムビラです。”
と返答が返ってきます。

 

ムビラとカリンバは、違う楽器です。

 

ムビラをカリンバと呼ぶ人がいますが、それは間違いです。
カリンバをムビラと呼ぶ人がいますが、それも間違いです。

 

 

それでは、なぜ、このような混同が起きているのでしょう?

 

1970年頃に、
南アフリカのヒュー・トレイシーという会社が、
とても良いクオリティのカリンバの量産に成功しました。

 

その商品名は、楽器そのままの名前、
“カリンバ”でした。

 

また1970年代、
世界でブレイクしたEarth Wind & Fireが、
自分たちの演奏の中に、カリンバを取り入れました。

 

そのため人々は、
カリンバのような形状の楽器を、
カリンバ、と呼ぶのだと認識しました。

 

 

カリンバは、どんどん世界へと広まっていきました。

 

そして今では、
アフリカ人だけでなく、
アメリカ人、ヨーロッパ人、日本人、
世界中の国の人たちがカリンバを演奏し、
自分たちでカリンバを制作しています。

 

そのため、
世界の人々は、カリンバのような形状を持つ楽器を全て、
カリンバ、と認識するようになってしまいました。

 

カリンバとムビラの違いは、

 

カリンバは即興的であるのに対し、
ムビラは、既に演奏方法が決まっているショナの伝統曲を弾く、
という事、

 

また、カリンバは音楽を楽しむための楽器ですが、
ムビラは、音楽を楽しむのに加えて、
ショナが精霊たちに祈るための楽器
であり、
信仰と結びついている、

 

という違いがあります。

 

もう少し深掘りしてお話します。

 

”ムビラをカリンバと呼ぶ人がいますが、それは間違いです。
カリンバをムビラと呼ぶ人がいますが、それも間違いです。”

と書きました。

 

ジンバブエで、
ムビラを指差して”カリンバ”と呼ぶと、
違います、これはムビラです、
と答えが返ってきます。
が、
カリンバを指差して”ムビラ”と呼ぶと、
そうです、これはムビラです、
という答えが返ってくるのです。

 

 

これは、どういうことでしょう?

 

ジンバブエでは、
カリンバとムビラは違う楽器、
と区別して認識をしていますが、
ムビラののような形状の楽器を、
総括して、ムビラと呼んでいます。

 

こういう事も、
カリンバとムビラ、
という名前が混同している原因である、
と思われます。

 

ただ、現地人ではない我々は、
カリンバとムビラの区別ができてない人が多数であるため、
きちんとカリンバとムビラを区別する必要がある様に思います。

 

そのため、
カリンバとムビラを区別して名前を呼んだ方が、
勘違いが起こらない、
と思われます。

 

 

もう1つ深掘りします。

 

すみません、
だんだんマニアックな話をしてしまうのですが・・・。

 

”ムビラ”という名前は、
実は、正規名称ではなく、
正規式名称はムビラ・ザヴァジムです。

 

ザヴァジム、というのは、
先祖のための”という意味で、

先祖のためのムビラ
それが、
よく知られる”ムビラ”の正式名称です。

 

ムビラ、というのは、
現地ジンバブエでは、
ムビラのような形状を持つ楽器の総称です。

 

だからこそ、ジンバブエの人たちは、
カリンバを見ると、
ムビラと呼ぶ、
というところがあります。

 

もう1つだけ深掘りさせてください。

 

カリンバやムビラ、
という名前ですが、
これは、
スワヒリ語やショナ語のimbaという言葉からきている、
という説があります。

 

imbaとは、歌う、という意味です。

 

 

 

それに、
“kal”をつけるとカリンバになる。

 

ムビラの場合は、
imbaの活用形で、
imbira“という言葉があります。

 

imbiraとは、
〜のために歌う、
という意味です。

 

これに”i”を取り除くと、
mbiraになります。

 

ムビラの名前は、
この言葉からやってきた、
という説が、現在、有力です。

 

つまり、

mbiraとは、
〜のために歌う、ということ。

 

つまり、
ジンバブエの人たちにとって、
カリンバであっても、ムビラであっても、
〜のために奏でるものは、
ムビラ、
なのです。

 

そして、
ムビラとしてよく知られている”ムビラ”は、
人のために奏でる楽器の中でも、
先祖のためにも奏でる楽器、
ムビラ・ザヴァジムなのです。

 

 

ムビラの音色

 

ムビラの音色は涼やかで、
とても気持ちが良いです。

 

水の流れのような、
水琴窟の様な、
虫の羽音の様な、
自然とつながる音色を持っています。

 

 

そして、音が複雑に絡まりあい、
壮大な楽曲をつくっていきます。

 

じっと聴いていると、
倍音が広がり、
だんだんと男の人の声のような音、
女の人の声のような音が聴こえ出します。

 

キーを叩く度に、
ジージーというノイズが加わり、
綺麗な音とノイズが融合し、
聴く者をトランスの世界へ、
音の万華鏡の世界へといざなっていきます。

 

 

ムビラの制作

ムビラの制作は、
現地、ジンバブエで、
手作業で制作されています。

 

ノコギリで木を切り、
ハンマーで鉄を叩き、
鋼のやすりで鍵盤を磨き、
それは、とても大変な作業です。

 

ムビラを制作するジンバブエ人たちは、
大きな筋肉を持っています。

それだけ、
ムビラを制作するために、
毎日、筋肉を使って、
汗を流しながら制作しています。

 

そして、
1つ1つのムビラを丁寧に、
魂を込めて制作しています。

 

 

手作りだからこそ、
1つとして同じものはありません。

 

それ自体が、
ムビラ制作者の、
1つの作品なのです。

 

だからこそ、
手に入れるムビラは、
マイムビラ、として、
自分にしかない、
世界にただ1つの特別なムビラになります。

 

 

そして、
ジンバブエの人たちは、
ムビラのことを、
こう呼びます。

 

 

”精霊”

 

 

そう、
ムビラ自体が精霊なのです。

 

 

ムビラの起源

 

ムビラの起源は定かではありません。

 

岩の中から音が聞こえてきて、
その音をもとに制作された、
という伝説、
河底に1台のムビラがあり、
それを発見した者がムビラの制作をはじめた、
という伝説もあり、
深く探っていくと、
最後には彼らの神話の世界にたどり着きます。

 

また、ムビラにはたくさんの伝統曲がありますが、
誰が作った曲なのか、
いつ頃に作られた曲なのか、
分かってはいません。

 

いつの間にかそこにあり、
先祖のために人々が演奏していた楽器、
それがムビラなのです。

 

 

ムビラを習う、ということ

ムビラは聖なる楽器ですが、
特定の人しか演奏したり、触ったりしてはいけない、
というものではありません。

 

ムビラを弾きたい、と思う人は、
ぜひ、ムビラを弾いてみてください。

 

ショナの人たちは、
ムビラを弾きたい、
という感情が起こる事を、
先祖の導き“と考えます。

 

そして、
たくさんの人たちが、
ムビラを弾いて、
楽しんで笑顔に、
幸せになる事を願っています。